「長谷検校ゆかりの三味線披露演奏会」 くまもと大邦楽祭実行委員会

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 2020年は熊本が生んだ地歌三絃界の名人 長谷幸輝検校の没後百年を数えました。

 後進の育成に力を注ぎ九州系地歌演奏家の活躍を促した検校の元へは名曲「春の海」の作曲者である宮城道雄をはじめ、全国の名人が教えを乞いに足を運んだと言われています。検校の功績を記念し、1993年から実施するくまもと全国邦楽コンクールは本年で26回を数えます。

 昨年11月23日、検校の没後百年を記念した演奏会「百年の時を甦る幻の音色」には、2018年に発見され実行委員会の手で修復された検校遺愛の三味線が初披露されました。

 九州系地歌を継承する藤本昭子さんによる地歌「黒髪」の演奏は、泰勝寺を舞台に百年の歳月を超えて在りし日の検校の姿を思い起こさせました。

 楽器は演奏しないと響きがなくなります。修復後の三味線を響かせるには、高度な技術と時間が必要です。藤本さんは一年以上かけて検校遺愛の三味線にいのちを注ぎこむ毎日を繰り返し、見事に甦らせてくれました。

 この日は全国邦楽コンクール第1回最優秀賞の田辺頌山さん、熊本出身の尾葉石輝美さんも演奏に加わり、邦楽の魅力を満喫させてくれました。

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◇特別寄稿◇

全世界的にコロナの影響が広がって一年半以上が過ぎましたが、いまだ厳しい状況が続いています。今号では当財団評議員の堀田清様に、「コロナ禍で制限を受ける中での文化活動」についてご寄稿頂きました。

 

「石の上にも三年」

       劇団石 堀田 清

石の上にも三年でスタートした劇団も今年で五十一年目を迎えることができました。NHK放送劇団解散後若手の団員たちで、今後は舞台を目指そうと発足しました。

放送劇団の先輩(築地豊治氏)が最低三年は頑張りなさいという思いと、石ころは踏まれても形が壊れないから、そんな劇団になりなさいと「石」と命名してくれました。

来るもの拒まず去るもの追わずのスタンスで、まじめに遊ぼうをモットーに家庭的な雰囲気で活動を続けて、気が付けば半世紀という感じです。いい仲間に出会えて、いいスタッフに恵まれ、温かいお客様の拍手に支えられたお陰だと感謝しています。

昨年七月に予定していた五〇周年記念公演は新型コロナの影響で延期をし、本年五月に一年遅れで何とか開催できましたが、稽古はコロナの影響で大変苦労しました。稽古場に入る前に検温、手の消毒、マスクの着用、参加者名簿に記入したら使用するテーブル・椅子などの除菌と今までには行っていなかったことが日常の行動パターンになりました。

本番前にコロナ蔓延防止の影響で公共の練習会場の貸し出しが中止になり、練習会場の確保に苦労しましたが、地区公民館のご協力で何とか練習が再開でき、感染予防に徹しての稽古です。会場が狭い関係で出番のないキャストは外で待機するなどの状況下で稽古は続きました。お客様に安心してご覧頂くためにキャスト・スタッフ六〇名全員がPCR検査を実施し、陰性であることを確認し五〇周年記念公演の本番を迎えることが出来ました。

公演が終わっても二週間は気が休まりません。お客様や公演関係者からコロナ感染者が出ないか心配でなりませんでしたが無事に二週間が経過し、有り難いことに全員異常なしでしたので公演終了を宣言しました。これで公演が終了したと安堵しました。

今までに経験したことのない公演でしたが、結果いい勉強になった記念公演でした。これからも、少しでも地域の文化向上に貢献できたらと思います。

Posted on August 18, 2021 and filed under イベント.