第13回市民財団奨励賞

理事長小野友道

熊本の文化活動を支えるー大切なメセナ活動そして個人にできること

 世間は物価高で住みにくい。貧乏人は少でも安いものを探してパソコンと向き合う。とくりゅう(匿流)と呼ばれるSNSを利用した組織犯罪がはびこっている。人生の生きる価値を見出せない未熟な若者がお金欲しさに犯罪に加担している。国外では戦争、戦争と醜い争いが続く。このような荒んだ時代、特に戦争をなくすには文化の力こそが必要だと、かのアインシュタインの質問にフロイトがそう返事した。人の心の中に染みわたる音楽や詩の言葉が、どれだけ大切なことか。しかし、その文化活動が危機的状態にあるのではないか。例えば神戸市管弦楽団が市の補助金を切られる危機に面している。わが熊本は大丈夫か。不安がぬぐい切れない。このようなときに市民や企業の文化を支える仕組みが欠かせない。熊本には熊本県文化懇話会・文化協会があり大きな支えになっている。そのほかにも支援団体が幾つかあり、わが熊本芸術文化学術振興市民財団も小さいながらその一つであると自負している。

 そして大切なのはメセナ活動である。「メセナ」とは企業による芸術・文化の援護活動である。もともとはフランス語’mecenatで、ローマ帝政時代の皇帝アウグストウスの助言者マエケナスMaecenasの名前に由来する。彼自身詩人で、文芸後援者で金銭的援助を惜しまなかったという(文献)。日本へは1990年企業メセナ協議会設立の際、当時会長の福原義春が移入した(文献)。本財団常務理事の副島隆さんは、わが市民財団のお世話の外にも多くの文化活動を「お菓子の香梅」の社長そして今は会長として長きに亘り支援されてきた。熊本で開催されてきた演劇・音楽などの実行委員長などとして支えてきた回数は数えきれない。そして熊本にゆかりある優れた創作活動を続ける女性芸術家を顕彰する「香梅アートアワード」がある。本年で確か17回目になる。このようなメセナ活動はなかなか容易ではないが、われわれ市民も個人的にできることがある。音楽会などの観客として参加していただき、また、わが市民財団の会員として、文化活動を支えてくださるとそれは大きな力となる。

文献)丸谷才一:『星のあひびき』、集英社、2019。



第13回市民財団奨励賞2作品が決定しました。

(1)作 品 NPO法人テアトロ・リリカ熊本創立30周年記念講公演「トスカ」 
   主催者 NPO法人テアトロ・リリカ熊本代表 古﨑正敏 様

●選考理由
 貴会はオペラが持つ総合芸術の素晴らしさを熊本でも広めようと設立されました。この度のテアトロ・リリカ熊本創立三十周年記念公演オペラ「トスカ」は素晴らしい魅力あるステージを披露されました。また、青少年オペラ体験ワ ークショップを開催するなど社会へ向けての文化振興に寄与されました。

 地域に根ざし、豊かな心を育み未来へつなげるこのような芸術文化への真摯な取り組みと情熱を今後も継続されることを願い第13回市民財団奨励賞を贈りここに表彰します。



(2)作 品 音舞(おとまい)シリーズ2025 ~平和を奏でる音楽祭~
   主催者 Wai Waiアーティストグループ代表 吉永洋子 様

●選考理由
 貴会は、「平和を奏でる音楽祭」として、ジャンルも世代も超えて、さまざまな芸術を通じて社会に貢献したいという思いで、子どもから大人まで一緒に取り組み舞台を創り上げてこられました。芸術をパワーにして色々な形の「平和」が広がる活動を続けてこられた功績は大きくさらなる継続と挑戦への期待を込めてここに第13回市民財団奨励賞を贈り表彰します。




第13回奨励賞受賞にあたって

(1)NPO法人テアトロ・リリカ熊本創立30周年記念講公演「トスカ」 

御礼の言葉 第13回市民財団奨励賞を受賞して

 このたび、一般財団法人熊本芸術文化学術振興市民財団様より、市民財団奨励賞の栄誉に浴しましたこと、団体を代表し謹んで御礼申し上げます。長年にわたり地域文化の振興に尽力されてきた同財団よりご評価を賜りましたことは、私どもにとりまして誠に光栄であり、今後の活動を進めるうえで大きな励みとなるものでございます。

 テアトロ・リリカ熊本は、「市民が創るオペラ」を理念に掲げ、専門家と市民が共に舞台芸術を創造する場を育んでまいりました。

 とりわけ、青少年を対象としたオペラ体験ワークショップにおいては、歌唱・演技のみならず、舞台美術、衣装、メイクなど総合芸術としてのオペラの全体像に触れる機会を提供し、若い世代が芸術文化に親しみ、自己の可能性を見いだす契機となることを願い活動を続けております。

 また、熊本地震以降は、音楽が持つ癒やしと再生の力を市民の皆さまと分かち合うことを大切にしてまいりました。舞台に立つ経験が子どもたちの自信回復につながったこと、仲間と作品を創り上げる過程が心の支えとなったことなど、多くの温かい声を頂戴し、芸術文化が地域社会に果たす役割の大きさを改めて痛感しております。

 今回の受賞は、日頃よりご支援くださる市民の皆さま、出演者・スタッフ、指導者の方々、そして活動を支えてくださる多くの関係者の皆さまのお力添えの賜物でございます。ここに深甚なる感謝を申し上げます。

 今後も、市民に開かれた芸術活動を通じ、誰もが学び、参加し、感動を共有できる場を創出し続ける所存です。熊本の文化の豊かさを次代へと継承すべく、より一層精進してまいりますので、引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

NPO法人テアトロ・リリカ熊本代表 古﨑正敏




(2)音舞(おとまい)シリーズ2025 ~平和を奏でる音楽祭~

御礼の言葉 第13回市民財団奨励賞を受賞して

 第13回市民財団奨励賞を賜り、心より御礼申し上げます。

 今回の受賞は、WaiWaiアーティストグループがこれまで積み重ねてきた活動を温かく見守り、支えてくださった皆さまのお力添えの賜物であり、改めて深く感謝申し上げます。

 私たちは、「芸術を愉しみ、いつも心豊かな生活を」という理念のもと、地域に根ざした芸術文化の発信に取り組んでおります。特に、音楽と舞を融合させた独自の表現「音舞(おとまい)」シリーズとして、スクールコンサートや地域行事への出演など、幅広い世代に芸術の魅力を届ける活動を行っております。

 受賞対象となりました「平和を奏でる音楽祭」は、演出舞台監督を務めた葉山悠介がイスラエルで研鑽を積んだ経験もあり、「平和」をテーマに掲げて創作した作品です。

 また、作曲を担当した大城慎一郎、ピアノを担当した山城英樹の両名は沖縄出身であり、祖父母が口を閉ざしてしまう戦争の記憶、そして学校教育で学んだ「平和への願い」を音と舞に託し、舞台を創り上げました。

 芸術には、人の心を癒し、思いやりを育む力があると信じております。私たちは、その力を地域や学校現場を通して広げたいという思いで活動してまいりましたが、若い団体ゆえに活動への理解を得ることが難しい場面も多く、次のステップを模索していた折に、このような励ましとなる賞をいただきましたことは、計り知れない力となりました。

 「平和を奏でる音楽祭」では、吹奏楽とダンスパフォーマンスの出演者をオーディションで選抜し、共に舞台を創り上げました。出演者が音や舞を通して「平和」をどのように感じ、ご来場の皆さまにどのように受け止めていただけたのかを振り返り、次の創作へとつなげてまいりたいと考えております。

 これからも、地域の皆さまに笑顔と感動をお届けし、芸術文化を通じて豊かな社会づくりに貢献できるよう、メンバー一同、精進してまいります。今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

Wai Waiアーティストグループ代表 吉永洋子

 

第13回一般財団法人熊本芸術文化学術振興市民財団奨励賞贈賞式 2026(R08).06.05

贈賞式 写真左から副島隆・葉山悠介・古崎正敏・吉永洋子・出田敬三・山城英樹・桐田信一郎(敬称略)

↑贈賞式 写真左から副島隆・葉山悠介・古崎正敏・吉永洋子・出田敬三・山城英樹・桐田信一郎(敬称略)

総会の様子1

↑総会の様子1

総会の様子2

↑総会の様子2

↑NPO法人テアトロ・リリカ熊本の皆さん1

↑NPO法人テアトロ・リリカ熊本の皆さん2

Wai Waiアーティストグループの皆さん1

↑Wai Waiアーティストグループの皆さん1

Wai Waiアーティストグループの皆さん2

↑Wai Waiアーティストグループの皆さん2

Posted on September 13, 2026 and filed under 市民財団奨励賞.